こんにちは!
「土日すいどう?」のジョンです。
普段は水道屋として働いています。
このブログでは「水回りを快適に」をコンセプトに、情報をお届けしています。
今回は、DIYでできる排水工事の範囲について、東京都下水道条例を参考に詳しく解説いたします。
排水が詰まったけど自分で直して大丈夫?
排水ホースを交換したいけど、自分でやっていいのかな?
といった方は、この記事を読んでいただければやっていいのかの判断や注意点などがわかります。
よかったら最後までご覧ください。
無資格でできる排水工事の範囲とは?
各自治体によって若干違いがあるかもしれませんが、今回は東京都下水道条例を参考にお話しします。
排水設備とは?
東京都下水道条例第7条には、次のように定められています。
排水設備の新設等の工事は、管理者の指定を受けた者(以下「東京都指定排水設備工事事業者」という。)でなければ施行してはならない。
排水設備とは、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠きよその他の排水施設をいい、
新設等とは、新設・増設・改築のことを指します。
- 「新設」とは、建物の新築や建て替え等に伴い、排水設備を新たに設置することをいう。
- 「増設」とは、既存の排水設備に追加して、衛生器具や雨どい等を設置することをいう。
- 「改築」とは、増設の場合を除いて、排水設備の移設や排水経路の変更などを行うことをいう。
つまり、排水設備の新設や追加・移設、排水経路の変更などの工事は、原則として指定排水設備工事事業者でなければ施行できません。
DIYでできる作業とその限界
以下のような軽微な作業であれば、基本的にDIYでも問題ありません(※地域によって例外あり)。
- 室内の排水トラップの交換
- キッチンなどの排水ホースの取替え
- 器具の交換(配管の変更を伴わない)
- 詰まり直し(配管の変更を伴わない)
一方で、以下の工事は指定排水設備工事事業者でなければ施工できません。
- 排水管を延長・変更・増設
- 敷地内の排水マスの設置・移設・交換
- 公共マスと排水管の接続
- 器具の移設・増設
これらは指定排水設備工事事業者でなければ施行できず、無資格で施工すると違法になります。
施工するときの注意点
無資格で行える作業でも、以下の点には特に注意が必要です。
勾配の確保
排水管には適正な勾配(1/100〜1/50)が必要です。勾配が不足すると、排水が逆流したり詰まりやすくなります。
接続部の処理
パイプの切断面のバリ取りや、接着剤の適切な使用は、水漏れや臭気漏れ防止に欠かせません。
接続不良により、床下や壁内で水が漏れると、建物の腐食やカビの原因となります。
臭気対策
トラップが正しく設置されていないと、悪臭や害虫が室内に侵入ことがあります。
器具交換の際には必ずトラップ構造の有無を確認しましょう。
違法工事をした場合の罰則やリスク
資格が必要な排水設備工事をDIYで行った場合、違法工事となります。
東京都下水道条例第25条にて、以下のように定められています。
次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の過料に処する。
一 第四条第一項、第二項若しくは第三項、第六条第二項、第八条、第十二条第一項若しくは第二項又は第十七条の三の規定による届出を怠つた者
二 第五条第三項の規定に違反した者
三 第七条の規定に違反して排水設備の新設等の工事を施行した者
四 第七条の十四第四項の規定に違反した者
五 第九条第一項の規定に違反してし尿を排除した者
六 第十六条第三項の規定による装置の取付けを拒否し、又は妨げた者
七 第二十一条の規定による資料の提出を求められてこれを拒否し、又は怠つた者
八 第四条第一項、第二項若しくは第三項、第六条第二項、第八条、第十二条第一項若しくは第二項若しくは第十七条の三の規定による届出書、第十七条第一項の規定による申告書、第二十一条の規定による資料又は第二十二条の規定による申請書に係る書類に不実の記載をして提出した者
また、違法な施工により公共下水に被害を与えた場合や、漏水事故等を引き起こした場合は、民事上の損害賠償責任が発生するおそれもあります。
DIYだからといって見過ごされることはありません。
困ったときは役所や専門業者に相談を
東京都下水道条例を参考にしましたが、判断に迷ったときは、お住まいの役所や指定排水設備工事事業者などに相談するのが最も確実です。
また、地域に登録されている「指定排水設備工事事業者」であれば、法令を遵守したうえで、適切な工事を行ってくれます。
「◯◯市 指定排水設備工事事業者」で検索すれば、すぐに見つかります。
金額が気になる場合も、事前に見積もりを取ることで安心して依頼できるでしょう。
「この程度なら大丈夫だろう」と安易に作業を始めるのではなく、不安があるなら必ずプロに相談することが、安全で確実な水回り環境を守るカギです。
まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 排水設備工事は、原則として指定排水設備工事事業者による施工が必要
- 軽微な作業のみ、DIYで可能
- 軽微な作業以外は、DIYで行うと違法
- 違法工事には罰則あり
- 困ったときは自治体や指定排水設備工事事業者に相談しよう
今回は「DIYでできる排水工事の範囲」についてお伝えしました。
排水工事は見えない部分こそ重要であり、トラブルが起きると生活への影響も大きくなります。
DIYを楽しむ中でも、法律を守りつつ、安全・安心な施工を心がけましょう。
ジョンでした。ありがとうございました。
水回りを快適に!